看護師と理学療法士が把握している患者の能力を比較し見解を統合していく。
そうすることで潜在的な能力を掘り起こし、望む生活に近づけることが可能になる。
認知症の高齢者が大腿骨を骨折して、入院でリハビリテーションを行う場合を例に挙げてみよう。
それぞれの把握できる分野と役割を比較していく。
理学療法士は、手術の経過も含めた創部の状態から、身体の機能の回復がどの程度可能かを想定。
歩行機能等の回復のために、関節可動域訓練や立位、歩行訓練を行う。
リハビリテーションの実施や歩行機能獲得のために、認知度などをテストなどから把握していく。
しかし理学療法士が目にできる患者の状況の多くは、訓練中に限られる。
看護師は、病棟における生活のなかで患者の動きを把握できる。
また、受傷や環境の変化による影響や、加齢やそのほかの要因からくる他の疾患に留意し、療養生活全体を経過観察しながら全身を管理するのだ。
立位や歩行ができたからといって元通りの生活が送れるとは限らない。
安全に人が行き交う病棟の中で歩行するには、周囲への注意関心を向けながら身体機能を持続させることも必要である。
リハビリ訓練中の歩行のほかにも、病棟の生活において、車いすを自力で操作して体力を向上できるよう促すなどを看護師が行う。
そして、病棟におけるトイレや入浴動作などができるように、病棟内訓練を看護師の見ているもとで理学療法士が行ったり、段階的な能力把握のためのカンファレンスによって把握できている状況を比較・統合していく。
つまり、医療現場においては看護師と理学療法士の双方の働きが必要なのだ。